バージニア州タイソンズに本拠を置くインテルサットは、移動する車両が同社の静止衛星およびスペースXのスターリンクネットワーク（低軌道に位置する衛星群）からブロードバンドサービスを利用できる新型のフラットパネルアンテナを開発しています。この技術は、2023年11月30日に開催されたインテルサットの投資家向けイベントで、スポーツ用多目的車（SUV）の屋根に設置されたフェーズドアレイ電子走査アンテナを通じて実演されました。
多軌道サービスの展望
インテルサットのCEO、デビッド・ワイスグラス氏によると、同社は現在58基の静止通信衛星を運用していますが、顧客に多軌道能力を提供するために、スペースXやユーテルサット・ワンウェブとのパートナーシップを進めています。特に、商業航空会社向けの多軌道ブロードバンドサービスが注目されています。
業界への影響
ワイスグラス氏は、「スターリンクは良い意味で業界に変革をもたらした」と述べています。静止衛星市場は約5年前から変化し始め、これは顧客の要求と新しい宇宙企業によって推進されてきました。この動きは、業界全体のレベルアップに寄与しています。
軍事用途への応用
インテルサットのビジネス開発ディレクター、レイ・リンデンメイヤー氏によると、イベントで展示された多軌道フラットパネルアンテナは既に生産中で、米国国防総省（DoD）の顧客に数十基が販売されています。これらのアンテナはスペースXからモデムを購入し、統合することでスターリンクとの互換性を実現しています。
注釈
- 静止衛星（Geostationary Satellite）: 地球の赤道上空約35,786kmに位置し、地球の自転と同じ速度で回転するため、地上から見ると常に同じ位置にあるように見える衛星。
- 低軌道（Low Earth Orbit, LEO）: 地球表面から約160km〜2,000kmの範囲に位置する軌道。スターリンクネットワークなどがこの軌道を利用しています。
- フェーズドアレイ電子走査アンテナ: 複数の小さなアンテナ要素を組み合わせ、電子的にビームの方向を制御するアンテナ。
記事の引用元: SpaceNews
インテルサットの公式ウェブサイト: https://www.intelsat.com/
