2025年4月、米国のStarlink関連情報サイト「DishyTech」にて、次世代スターリンクルーターと見られる新型機器の存在が報じられました。
参照記事:DishyTech: Next-Generation Starlink Router Spotted
今回話題となっているのは、「Rev4」と呼ばれる可能性のある新型ルーターで、技術的な特徴として「5.9GHz帯での通信対応」が注目を集めています。
5.9GHz帯とは?
5.9GHz帯は「車車間通信」や「ITS(高度交通システム)」などの用途で割り当てられている周波数帯で、日本では総務省により利用が厳しく制限されています。
つまり、日本国内では現時点で一般民間向けの通信機器として5.9GHz帯を使用することは原則として認められておらず、技適の取得も困難です。
新型ルーターの国内発売はあるか?
現行のスターリンクルーター(Rev3)では日本向けに技適対応が行われているものの、Rev4で新たに5.9GHz帯を使用する設計である場合、日本での技適認証は見送られる可能性もあります。
そのため、たとえ米国や他国でリリースされても、同型のルーターが日本で発売されるには「5GHz帯のみに対応したバージョン」などのローカライズが必要になると考えられます。
新型ルーターの国内展開の可能性と技適の壁
現行のスターリンクルーター(Rev3)は日本向けに技適を取得し、5GHz帯での屋外利用に対応するために「屋外モード」をソフトウェア的に追加する対応が行われました。今回の次世代ルーター(通称Rev4)に関しても、同様のアプローチが採用される可能性はあります。
特に注目されている5.9GHz帯は、日本国内ではITS用途などに限定され、民間通信機器での使用は厳しく制限されています。しかし、スターリンクが過去に「ソフトウェア制御」によって対応帯域を制限した事例を踏まえれば、5.9GHz帯を有効に使える国と、使用が制限される国とで、同一ハードウェアをソフトウェアの違いだけで出荷するという戦略も十分に考えられます。
そのため、日本市場向けには5.9GHz帯を無効化し、従来同様のWi-Fi 6仕様として技適を取得したうえで発売される可能性があります。ただし、具体的な認証取得やローカライズの動きは現時点で確認されていません。
縦型デザインの新ルーターが示唆する方向性
リークされた画像を見る限り、Rev4ルーターは従来の横置き型とは異なる縦長のデザインとなっており、インテリア性を重視したとも取れる外観です。ポート類は非常にシンプルで、LANポートは1口のみ。これはRev3に比べて機能が絞られている可能性を示唆します。
また、防水対策が施されていないように見えることから、このルーターを屋外に直接設置するのは難しく、完全に屋内利用を前提として設計されていると推察されます。したがって、従来のようにアンテナとルーターの設置場所を自由に選べるわけではなく、ユーザーの環境によっては配線の工夫が必要となるでしょう。
このことから、今回のルーターはスターリンクのアンテナRev1(旧型丸型)やRev2(自動追尾ムーブ型)、さらには高性能アンテナと組み合わせ、メッシュWi-Fi構築用の子機的な役割を果たす可能性も否定できません。現在主流のRev3は独立して完結できる設計ですが、Rev4はあくまでネットワーク全体の一部を構成する前提のプロダクトであるとも考えられます。
導入タイミングと当社の見解
現在のところSpaceXやStarlinkから公式な発売スケジュールは発表されていませんが、プロトタイプの存在が確認された段階であるため、実際の導入はかなり先となる可能性が高いです。
クラウンクラウンとしては、「5.9GHz」という難しい周波数帯の採用や、物理設計上の制限から判断して、この新ルーターがすぐに日本で導入されるとは考えていません。むしろ、現段階ではワクワクするような進化というより、用途や環境がかなり限定されるニッチな選択肢にとどまる可能性が高いと捉えています。
ただし、Rev3からの明確な技術的ブレイクスルーや、新たな価値が見出されるのであれば、今後の展開は大きく変わる可能性もあり、引き続き注視していく価値は十分にあります。