VEONとStarlinkが画期的提携――Kyivstar利用者向けに「Starlink Direct to Cell」を提供へ
多国籍通信企業のVEONは2023年12月30日、SpaceX社が提供する衛星通信サービスStarlinkとの提携を発表しました。これにより、VEON傘下のウクライナ大手通信事業者Kyivstarのユーザーは、従来の地上通信網だけではなく、「Starlink Direct to Cell」を通じて直接衛星と接続するサービスを利用できる見通しです。
1. 契約の概要
VEONとStarlinkはKyivstarの利用者に対して、スマートフォンなどの携帯端末を通じて衛星に直接接続できる「Starlink Direct to Cell」サービスを提供することに合意しました。具体的なサービス開始時期や料金プランは今後改めてアナウンスされる予定ですが、この新サービスによりウクライナ国内の通信カバレッジが一気に拡大する可能性があります。
2. 狙いと背景
- ウクライナ情勢:ロシアとの軍事衝突の影響で通信インフラ維持が課題。
- VEONの戦略:ウクライナ市場において最大手の通信オペレーターであるKyivstarを通じ、インフラを安定化。
- Starlinkの実績:すでにウクライナ政府や軍事機関に衛星通信を提供しており、実用性が高く評価されている。
3. VEONおよびKyivstarの位置づけ
VEONは欧州に本社を置き、世界各国で通信サービスを展開している多国籍企業です。主に下記の国々で事業を展開しています。
- ウクライナ(Kyivstar)
- ロシア(Beelineブランド)
- パキスタン(Jazzブランド)
- バングラデシュ(Banglalinkブランド)
- カザフスタン(Beelineブランド)
- ウズベキスタン(Beelineブランド)
- キルギス(Beelineブランド)
- タジキスタン(Tacomなど)
- アルジェリア(Djezzyブランド)
- ジョージア(Beelineブランド)
ほかにも展開先はあるが主要国をピックアップ
Kyivstarはウクライナ最大級の通信オペレーターで、VEONグループの中核を成す企業です。国内において高いシェアを維持し、緊急時や災害時の通信確保に注力しています。
4. Starlink Direct to Cellの技術的特徴
地上の基地局や中継局に依存しない衛星通信技術を用いるため、険しい地形や被災地など従来のネットワークが届きにくいエリアでも高速通信が期待できます。戦争や災害などの有事には、物理的インフラが破壊されても比較的スムーズにネット接続を確保できる点が注目されています。
5. 今後の展望
本提携はウクライナ国内にとどまらず、VEONが展開する他国への波及が期待されています。特に通信インフラが脆弱な地域では、衛星通信の導入が大きな価値をもたらす可能性があります。さらにStarlinkは「グローバル衛星インターネット構想」を推し進めており、この動きが欧州やアジア新興市場への拡大の足がかりとなることも想定されます。
6. 追加の重要背景情報
- ウクライナのインフラ破壊:度重なる攻撃により通信・電力などのライフラインが脅かされている。
- スターリンクの支援:民間や政府、軍事機関向けに衛星通信を提供し、国際的な支援枠組みの一部を担う。
- VEONの株主・投資家:革新的技術導入による企業価値向上に期待が集まっている。
- SpaceXの進化:スターリンクは船舶・航空機向けから携帯端末向けまで事業領域を拡大中。
まとめ
VEONとStarlinkの協業は、ウクライナのみならず国際的な通信インフラの進化においても画期的なステップとなる可能性があります。これから正式なサービス開始や料金体系などの詳細が明らかになるにつれ、より多くの注目と期待が寄せられるでしょう。